ギャンブルは常に魅力的な観光資源であり、ますます多くの国がギャンブルを合法化し、また、カジノを強力な集客施設として確立させようと資本が投下され続けています。

しかし、ギャンブルと観光の間には実際のところどのような関係があり、そして、カジノは本当に観光客を惹きつけているのでしょうか?国際的な観点から観光とギャンブルの関係を俯瞰してみましょう。これは、日本の投資家や立法機関関係者にとっても、やがて有用な知見となるはずです。

地域をマーケットに想定しているカジノ

歴史的には、特にヨーロッパでは、カジノは常に裕福な人々を相手とする有名な観光地に付随するものでした。モンテカルロやバーデン=バーデンにあるカジノは、元々はリゾート地を訪れる富裕な観光客たちのためのものだったのです。

カジノと観光産業の間には、確かに強い相関関係がありますが、必ずしもカジノ が、地域の観光産業を成長させるわけではありません。また外国人観光客に収益を頼るカジノばかりでもないのです。一般的に、カジノはその周辺都市部を主なマーケットとしているに過ぎないと理解しておくことが妥当です。

観光の振興に役立つカジノ

これまで述べて来たような経緯を前提としながら、最近では多くのカジノ(主に米国とオーストラリア)が観光振興のために認可を受けています。外部から観光客を獲得し、地域と国内の経済により多くの資産を取り込みたいというわけです。

いくつかの事例では、この取り組みはうまく行っています。例えば、オーストラリアのゴールドコーストでは、大規模なカジノが日本や東南アジアの大口顧客を取り込むことに成功しました。カジノは観光開発における強力な刺激薬と考えられているわけです。しかし、それは、立地、開発の種類、法的環境、競合状況などの多様な要素に大きく左右されます。

ギャンブルがある地域における観光開発に役立ち得るのは次の2つの場合です。大規模カジノが密集していて一大観光スポットとなっている場合と、カジノが法的に禁じられている近隣の国や地域から観光客を取り込むことが容易な場合です。

観光スポットとしてのカジノ

ラスベガスやマカオのように、カジノなどのギャンブル施設の集中は世界中から観光客を惹き付けるスポットになり得ます。そうしたカジノの集中は世界の多くの国々で法的に可能ですが、次の点に留意しなければなりません。

例えば、ラスベガスはその「キャリア」を、ギャンブルを楽しむための都市として開始しました。しかし競争の激化(世界中の多くの都市で法的規制が緩和され、競合相手が増加した事)により、多様な種類のエンターテイメントの中心地とか多数のコンベンション会場を擁する都市といった性格も併せ持つようになりました。ラスベガスのそうした多面性の中心は依然としてギャンブルですが、もはや、それだけの都市ではなくなっていることに留意が必要です。

オンラインのギャンブルは観光産業にとって脅威となるか?

経済的なメリットと観光客の増加を目的として、カジノ解禁に踏み切る国や地域も出てきました。しかし、他方では、インターネットの普及によりオンラインギャンブルが急速に一般化し、プレイヤーたちにサービスを提供するオンラインカジノがその勢いを増しています。こうしたオンラインカジノは、ギャンブル観光の競合相手となりつつあります。将来、オンラインカジノがギャンブル観光に対してどのような影響を与えるのかについて結論を出すには未だ早過ぎますが、注視が必要であることは言うまでもありません。

要約すると、カジノは観光振興に役立ち得るものですが、カジノだけで観光産業が安泰となることはありません。カジノで知られるいずれの都市も、ギャンブル以外のエンターテイメントの選択肢の拡充に注力し、観光産業をさらに発展させています。近い将来日本もカジノ建設に踏み切る見込みが高く、カジノが観光産業や国内の経済にいかに貢献し得るのかを直接観察する機会に恵まれるかもしれません。